【映画】西海岸カルチャー満載!本当の「成長」の意味とは?スニーカーと少年を描く映画「KICKS/キックス」を鑑賞しました!

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皆さんこんにちは。Lindsayです。りんじーって読みます。

先日、試写会にお誘いいただき、「KICKS/キックス」という映画を鑑賞しました。

この「KICKS/キックス」という映画は、カリフォルニア州リッチモンドを舞台に、15歳のブランドンという少年がスニーカーを巡って大人に成長していく過程が描かれている物語で、トライベッカ映画祭や、ローマ国際映画祭などで数々の賞を受賞しています。アメリカでは2016年に公開した映画で、遂に日本でも12月1日から公開となります!

ヒップホップや西海岸のカルチャーが好きな人には是非鑑賞してほしい1本。なぜなら、作品自体がクラシックなヒップホップサウンドに溢れていることはもちろん、伝説のラッパー、故ノートリアス・B.I.G.とフェイス・エヴァンスの息子、クリストファー・ジョーダン・ウォーレスも出演しているからです。

この記事では、映画「KICKS/キックス」のあらすじや登場人物、そして最後にはネタバレあり感想も書いているので、映画を観終わった後にぜひ読んでみて下さいね。

映画「KICKS/キックス」あらすじ

舞台はカリフォルニア州リッチモンド。15歳のブランドンは、貧乏で背が低く、女の子からもモテない少年。クールなスニーカーさえあれば、現実から逃れられると信じていた。必死にお金を貯めて、やっとの思いで最強のスニーカー「エア ジョーダン 1」を手に入れた。

ある日、学校帰りに遭遇した地元のチンピラ、フラコたちにスニーカーを奪われたブランドンは、2人の親友を連れてスニーカーを取り戻そうとするが……。

これが長編映画デビュー作となる新鋭ジャスティン・ティッピング監督が、奪われたスニーカーを取り戻そうと奮闘する少年の成長を、アメリカの犯罪多発地域の実態やスニーカーマニアのカルチャーを交えながら描いています。

映画「KICKS/キックス」登場人物

主人公のブランドンを演じるのはジャーキング・ギロリー(写真中央)。リッチモンドで生活をする思春期の少年を演じています。ジャーキングは、俳優兼ラッパーとして活躍中。撮影当時は13歳だったそうです(!)。

彼は大御所ラッパーのスヌープ・ドッグが設立したジュニア・フットボール・チームのランニングバックとしても活躍していて、ジュニアオリンピックでは800mと1500m走で金メダルを獲得していて、スポーツ界でも活躍しています。

(Netflixに、スヌープが率いるアメフトチームを描いた「コーチ・スヌープ」というドキュメンタリーがあります。)

アルバート(写真右)&リコ(写真左)はブランドンの親友。放課後はよくブランドンと3人でコンビニで飲み物をくすねて、バスケをして遊んでいます。

アルバートを演じるのは、故ノートリアス・B.I.Gとフェイス・エヴァンスを両親に持つクリストファー・ジョーダン・ウォーレス。亡き父の伝記映画「ノートリアス・B.I.G.」では父の若き日を演じています。

長身イケメンで女の子にモテるリコを演じるのはクリストファー・マイヤー。ブルックリン生まれでフロリダ州で育った彼は、10歳で役者を志し、現在は映画やTVドラマに多数出演している俳優です。

若手俳優が目立つ「KICKS」ですが、「ムーンライト」や「ドリーム」などの話題作に出演し、現在ハリウッドで旬な俳優、マハーシャラ・アリはブランドンの親戚マーロン役を演じています。

とてつもない存在感を放っているマーロンは、ブランドンを陰ながら支える存在。出しゃばることもなく、背中で語るという男気溢れるキャラクターを見事演じています。

ブランドンのスニーカーを奪った悪の張本人、フラコを演じた俳優は、コフィ・シリボエ。ロサンゼルスで生まれ育ち、アイス・キューブ主演のアメフト映画「奇跡のロングショット」への出演でデビューを果たしました。「KICKS」では息子想いのワルを演じています。

映画「KICKS/キックス」ネタバレあり感想

※ここから先はネタバレが含まれます※

アメリカの西海岸にはコンプトンやイングルウッドなど多くの犯罪多発地域があります。この映画の舞台であるリッチモンドもそのひとつ。ドラッグをめぐっての殺人事件が起こったり、ギャングのグループが対立していたり、日本に住んでいるとまず巻き込まれないような犯罪が蔓延しています。

KICKSでは、ノートリアス・B.I.G.の名曲’Mo Money Mo Problems’で「お金を持つと必然的にトラブルが生まれる」と歌われているように、ブランドンが高価なスニーカーを手に入れたが故に、街のチンピラ、フラコに奪われてしまうところから、物語は始まります。

そんなブランドンは「無」の世界に憧れています。誰かに怯えることなく、自由に生きたいという想いを持っていますが、KICKSのポスターにも描かれている宇宙飛行士は、その「無」を象徴する像です。

少年ブランドンは、奪われたスニーカーを取り戻すために、街のチンピラのフラコに真っ向から挑みます。

必死の思いでスニーカーを取り戻すことができますが、ブランドンが最後にフラコにボコボコに殴られた時、宇宙飛行士も顔から血を流して死亡してしまいます。この時、彼の幻想は綺麗さっぱりなくなりました。つまり、「この弱肉強食の現実世界で生きて行くしかない。」と、覚悟を決めたんですね。

フラコの家に侵入した時にアルバートとリコがブランドンを命がけで守るシーンがありましたが、この街では、スニーカーであれ友人であれ、大切なものを守るということは必ず危険が伴います。

日本に生まれ育つと共感はできないかもしれませんが、犯罪多発地域で生まれ育った彼らにとって「男になる」ということは、命をかけて大切なものを死守することなんです。

15歳のブランドンは冒頭では「無」の世界に憧れていましたが、現実を理解し、そういう運命だと割り切るしか方法がないと気がつきます。それが、この地域に生まれた少年が「大人の男」になるということなんですね。

こんなにも救いがない世界がこの世に存在していることに絶望を感じましたが、「KICKS」では紛れもない現実を忠実に描写していて、感慨深かったです。

色々と考えさせられる作品でしたし、私からすると「たかが」スニーカーを命がけで守るなんて…と思いましたが、スニーカーに限らず、家族や恋人、友達などの「大切なもの」を守るということは、大きな危険が伴う。この地域で生き抜くためには、それが全てなんだと感じました。ブランドンという1人の少年の成長を、ドキュメンタリー映画を観ているような感覚で目の当たりにしました。

映画「KICKS/キックス」予告編

映画「KICKS/キックス」作品情報

映画「KICKS/キックス」公式HP

題名:「KICKS/キックス」(原題:KICKS)
公開日:2018年12月1日(土)
監督:ジャスティン・ティッピング
製作:デビッド・カプラン、アデル・ロマンスキー、ジョシュア・アストラカン、ジェフリー・クアン
脚本:ジョシュア・バーン=ゴールデン
出演:ジャキング・ギロリー、クリストファー・メイヤー、クリストファー・ジョー、ダン・ウォーレス、マハーシャラ・アリ、コフィ・シリボー他

 

「KICKS/キックス」は、12月1日(土)より、渋谷シネクイントにてロードショー。全国順次公開予定です。Hiphopが好きな方は、サントラも是非チェックしてみて下さいね。

それでは、また次の記事でお会いしましょう。

See you soon!

Lindsay

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