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映画「アス」のあらすじ&解説。鬼才ジョーダン・ピール監督による、傑作ホラー映画!

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皆さんこんにちは!Lindsayです。りんじーって読みます。

今回の記事は、9月6日(金)に公開予定の映画「アス」のあらすじや感想について書きたいと思います。先日試写会にて一足早く鑑賞してきましたが、ただのホラー映画ではない気味の悪さと奥深さを持ち合わせた傑作映画でした…!

わたし的に、ジョーダン・ピールの前作でアカデミー脚本賞を受賞した「ゲット・アウト」よりも更にパワーアップしていると感じました。それでは早速、この作品を観て感じたアレコレについて書きたいと思います。あくまで主観です。くれぐれも、映画の鑑賞後にお読みくださいね。それではお付き合いください。

アス/あらすじ

アデレード(ルピタ・ニョンゴ)は夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンと共に、幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れ、夏休みを過ごすことに。早速、友人家族と一緒にビーチへ行くが、アデレードはそこで不気味な偶然に見舞われ、過去のトラウマがフラッシュバックする。

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やがて、家族の身に恐ろしい事が起こるという妄想を強めていくアデレード。その夜、家の前に自分達とそっくりな「わたしたち」がやってくる・・・。

アス/感想

※ここからはネタバレが含まれます※

上記のあらすじはかなり表面的になっていますが、予備知識なしで観ることを強くおすすめします。簡潔にいうと、この映画は富裕層と貧困層が共存するアメリカ(もしくは世界)の格差社会をテーマにしています。

・謎の男が持つ「11:11」というメッセージが示す聖書の一節とは?

冒頭、家族と海沿いの遊園地に訪れたアデレードは、謎の男性が持っていた「11:11」のメッセージを目にします。この数字はエレミヤ書11章11節のことで、「したがって、主はこう言われる。『見よ、彼らに逃げられない悪を彼らにもたらす。彼らは私に叫ぶが、彼らに耳を傾けない。」という意味を持ちます。

つまり、神は人々を平等に創造したはずなのに、このように大きな貧富の差、格差が生まれてしまっており、貧しい人々を見て見ぬフリをする慈悲のない豊かな人々に制裁を加える。といった内容であることを暗に意味しています。

・冒頭シーンの「ハンズ・アクロス・アメリカ」とは?

突如CMが流れて「何のこっちゃ!」となる「ハンズ・アクロス・アメリカ」を知ることが、この作品を深く読み解くカギとなります。「ハンズ・アクロス・アメリカ」とは1986年にアメリカの貧困問題にアクションを起こすために行われたプロジェクトで、約650万人がアメリカの各地で15分間手を繋ぎ、自国の貧困層やホームレスを支援しようという試みです。参加者は10ドルを寄付すると自分の場所を予約でき、このプロジェクトにより約1500万ドルの寄付金が集まりました。

レッドが黒板に書いていた絵や、赤い服を着た裏の世界の人たちが手を繋ぐ姿は、「ハンズ・アクロス・アメリカ」そのものです。(ちなみに、一家がサンタクルーズに向かうシーンでは、車に同じようなステッカーが貼ってありましたね…。)

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・タイトル「アス」には二つの意味が!?

この作品を観終わってから、タイトルには複数の意味があると気づきました。「Us=U.S.=アメリカ」って意味なのでは…!?と。

これはアメリカだけに限らない話ですが、裕福な人がいれば貧乏な人がいて、エリートもいれば、十分な教育を受けることが難しい人もいます。誰かを犠牲にして幸せになっている人がいるのが現状です。

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そして、裏の世界の人はまともに話すことができません。アデレード(レッド)も表の世界に来た時は言葉を話すことができませんでしたよね。ここには、貧困層はまともな教育を受けることさえできない、というメッセージが込められているのではないでしょうか。

・ラストシーンの解釈

私はアデレードとジェイソンが意味ありげに目を合わせるラストシーンが強く印象に残りました。そういえば、海のシーンで弟のジェイソンが一人でトイレに行き、アデレードに怒られるシーンがありましたよね。あの時にジェイソンは鏡の館付近で、赤い服に身を包んだ恐ろしい者の姿を見ました。

もしかすると、あの時にジェイソンも入れ替わっていたのでは…?入れ替わったのはアデレードだけではなかったのでは…?

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と想像してしまいましたが、ジェイソンはちゃんと言葉を喋っていたはずだし、あの目配せは何だったのでしょうか。

・ハイレベルな笑いのセンス

前作「ゲット・アウト」では笑いの要素はほぼ無しでしたが、「アス」はいくつか笑えるシーンが入っています。それもそのはず、ジョーダン・ピール監督はもともとコメディアンで、相方のキーガン=マイケル・キーと共に「キー&ピール」という番組に出演していたのです。

監督、脚本家、コメディアンとマルチな才能を発揮しているジョーダン氏ですが、Netflixで配信中のアニメ「ビッグ・マウス」では声優も務めています。性にまつわるあれこれをコミカルに描いている風変わりな大人向け人気アニメで、こちらもおすすめです。

一番笑えたのはスマートスピーカーが”Call the Police!”という言葉を聞き間違えてN.W.A.のFuck Tha Policeを流すシーンでしたが、N.W.Aは1980年代後半くらいに結成されたアメリカ西海岸を代表する本物のワルたちで、社会現象を巻き起こしたグループ。

その武勇伝は映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」で語られています。ドクター・ドレーは今やヘッドフォンで有名なアップル傘下のBeats by Dre.を手掛ける実業家ですが、社会現象を巻き起こしたラッパーからの成り上がりです。

Fuck Tha Policeのシーンではここで笑いを持ってくるか〜!!と唸ってしまうほどの秀逸のセンスを見せつけられました。

Hiphop繋がりで言うと、本編や予告編で使われているのは、Luniz(ルーニーズ)の「I Got 5 On It」。本編のいたるところでこの曲がアレンジして使われていましたね。なんともホラー映画にぴったりなHiphopだこと…!!

アス/予告編

アス/作品情報

題名:「アス」(原題:Us)

映画「アス」公式HP

公開日:2019年9月6日(金)

監督:ジョーダン・ピール

製作:ジョーダン・ピール、ジェイソン・ブラム、イアン・クーパー、ショーン・マッキトリック

脚本:ジョーダン・ピール

出演:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、シャハディ・ライト・ジョセフ、エヴァン・アレックス、エリザベス・モス、ティム・ハイデッカー他

私なりの解釈を長々と書きましたが、本編に度々出てきたウサギに込められたメッセージはまだ不可解なままです。ウサギはよく動物実験に使用されてしまう動物で、その理由は鳴き声を出さないからと聞いたことがありますが、そういう意味合いも含まれているのでしょうか…?

最後に、ジョーダン・ピール監督とウサギたちのほんわか写真で締めくくりたいと思います。

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ほんわか。

それではまた次の記事でお会いしましょう!See you soon!

Lindsay.

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